教室にある2台のうち、長年の相棒である、 思い出深いピアノ。
このところ疲れが見え隠れしてそろそろ引退の時期?と思うものの、
すっかり手に馴染んでいる象牙鍵盤の感触や 音色に愛着があって手放す気にはなれず、
迷いなくオーバーホールしてもらうことを決めました♪
工場に運んでオーバーホールすると約一月かかる様ですが、
教室で作業してくださる形だと
実質一週間程、しかもピアノが生まれ変わって行くのをこの目で見られるまたと無いチャンス!
という事で自宅で作業していただきました。
初日はまず弦を全て外すところから。
パーン、パーンと大きな音を立てて弦が切られていきます。
心臓部であるアクション部分は、スペースの関係で工房に運んで作業していただくことに。 (是非見たかったんですが💦)
溝の出来た硬いハンマーも、真新しい羊🐏🐏🐑のフェルトに交換されて戻って来ます。
それにしてもこんな空っぽのピアノ見るのは初めてで面白い^ ^
左 | 古い弦とピン (長年頑張ってくれてありがとう…) |
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右 | ダンパー(弦に触れて響きを止める) 再利用します |
下 | ピンを固定するための輪っか。 (木製、固いコルクみたい) 全て外して新しいものに交換します。 |
弦を張る段階になると、調律師さんが各日一人ずつ助っ人で入ってくださって、
2人で手前側と後ろ側に分かれ低音の長い弦を張ってくれました。(ピアノは壁にほぼくっついていて狭く通り辛いので😓)
興味津々で見ていたら、
「弦、張ってみますか?」
「是非!!」
というわけで一本挑戦してみたのですが、、、
ピンに巻きつけるところがどうしても緩くなって上手くいかず、断念💦
でも最後、ピンをハンマーで打ち込むところはやらせてもらいました。
フレームの中で、カーーン、ゴーーン、と鳴り響いて、まるで工場の中にいる気分でした。
象牙鍵盤の漂白作業です。
何と漂白に使うのはオキシドール!(消毒液)
象牙は天然のものなので真っ白にはならないけれど、自然の白さに戻るそう。
庭で作業するのは、紫外線に当てないと効き目がないからだそうです。
(この日は午後から晴れたのでラッキーでした。)
鍵盤にティッシュペーパーを広げてオキシドールをスポイトで垂らし、パックして4時間ほど紫外線に当てます。
黒鍵は薬剤がかからないよう別の場所に。
こんな固まって並んでる状態も珍しい(笑)
鍵盤一つ一つには番号が書いてあるので(88まで)、迷子になっても大丈夫です。
鍵盤天日干しの間、室内ではお二人のベテラン調律師さんにより、弦が着々と張られていきます。
ハンマーの音だけが鳴り響き、真剣そのもの、再生への厳かな雰囲気が漂っていました。
アクション部分がリニューアルされて戻って来ました♪
ハンマーを取り付けて、完成!
整然と並んでいる姿🐏🐏🐑🐑🐑美しい。
ずっと眺めていても飽きない気がします。
弦を叩くと一体どんな音を出してくれるのでしょうか?
ついに張弦終了。
壮観!ピアノって内部も本当に美しいなと思います。
まだまだ作業は続きます。
弦の間に🟥赤いフェルトを挟んだり、
細かい内部機構のパーツの調整をしたり。
約1万ものパーツから成るピアノは
まさに精密機械ですね。
作業がひと段落して
(弦をとりあえず張っただけの状態で)
ちょっと試しに音を出してみたら…
(記念すべき産声⁉︎)
一つずつ押しても単音でなく重音が!!
ピアノは一つの音に、多いところで3本の弦が張られていますが、
調律前なので、弦の超力がまちまちだと
そうなるんですね、、。
いよいよ終盤に入り、
アクションの動きを整えたり鍵盤の高さを揃えたりする「整調」、
音の高さを合わせる「調律」、
音色を作る「整音」
の作業に入りました。
そのピアノのタッチ感、音色を作る
重要な局面、
88本のハンマー一つ一つに、ベテラン職人さんの匠の技が施され、命が吹き込まれていきます。
少し手を加えると音色がガラッと変わる…
調律の世界って、
なんて奥が深いんでしょう、、。
前から興味があって、関連の本を少し読んだりしていましたが、
ピアノのこと、調律のこと、
自分の相棒の楽器なのに未だ未知の世界。
今回オーバーホールの現場を間近で見る事が出来て、益々「もっと知りたい!」と
思う様になりました。
最後にペダルが交換されました。
裏側見る事ってあまりないからパチリ!!
「何か弾いてみてください。」
と言われて最初に弾いてみたのは
モーツァルト。
発音がとてもクリアで軽やかで、こちらの気持ちに敏感に反応してくれる。
可能性を一杯秘めているのを感じます。
予想以上に弾きやすくなっていて驚きでした。
ただ、新しいピアノは弦もアクションも馴染むまでに時間がかかるので、
とにかくよく弾いて、崩れたら調律、
を繰り返し、だんだん良い状態が長くキープ出来るようにしていきます。
工場から出荷する時は、打鍵機に何度もかけ、早く狂わせて調律、を繰り返し、安定させてから出荷するのだそうです。
という事は、自分が打鍵機の代わりをするという事ですね^ ^
この先また30年(⁈)元気に弾いていられるよう頑張ろう!
人間も、培ってきた歴史そのままに、アクション部分だけオーバーホール出来るといいなあー(笑笑😆)
奥深い調律の世界に益々魅せられ、
益々ピアノという楽器が好きになりました。
素晴らしいお仕事をしてくださいました
調律師の皆様、
本当にありがとうございました!!